職員健康管理の指標

職員の健診受診率

分子・分母
 分子:事業所健診の受診者数 534
 分母:健診対象職員数 544
指標の説明
 職域で実施される健康診断は労働安全衛生法によって定められており、職員の安全と健康を確保するために、対象となる全職員に実施することが義務づけられています。 
 医療従事者は、各自の健康については自己管理を行うことが求められていて、特に直接患者さんと接する機会の多い職種では、定期的に健康診断を受けることが重要です。
考察
 2022年度の職員健診受診率は98.2%(受診534/544名)でした。昨年同様、育休・病欠・長期の外部研修者などを除く全員が受診しています。
 平日受診が難しい職種の対応や、休業明けの職員に対する受診漏れチェックを継続的に行い受診率向上につなげています。

胃がん検診受診率

分子・分母
 分子:胃がん検診受診者数 185
 分母:胃がん検診対象者数 311
指標の説明
 胃がん健診対象は、協会けんぽに加入している35才以上の職員です。希望者にがん検診を実施しています。
考察
 2022年度の受診率は59.5%(185/311人)で、前年から2.8ポイント減少しました。受診率が上がらない状況が数年間続いています。2021年度に実施した、胃がん検診に対するアンケート結果から、検査を受けない理由として「検査がしんどいから」「毎年受けなくても良いかなと思う」という声が多数聞かれ敬遠傾向にあると考えられます。内視鏡室と連携し胃がん検診の重要性を広報し、細径スコープによる経鼻内視鏡をすすめるなど、引き続き受診率向上に向けた取り組みを継続したいと思います。

大腸がん検診受診率

分子・分母
 分子:大腸がん検診受診者数 206
 分母:大腸がん検診対象者数 311
指標の説明
 大腸がん検診対象は、協会けんぽに加入している35才以上の職員です。希望者にがん検診を実施しています。
考察
 2022年度の受診率は66.2%(206人/311人)で、受診率は横ばいです。気軽に受けられる検査として職員向けの健診ニュースで呼びかけていますが、7割の壁を越せません。2021年度に実施した、大腸がん検診に関するアンケート結果から、検査を受けない理由として「採便しにくい」「めんどくさい」「まだ大丈夫」という声が多く聞かれました。健診日に提出できない場合は後日でも受付可能とし(2週間以内で提出)、引き続き受診の呼びかけをすすめていきます。

乳がん検診受診率

分子・分母
 分子:乳がん検診受診者数 104
 分母:乳がん検診対象者数 189
指標の説明
 協会けんぽに加入している40歳以上の職員は2年に1度受けることができますが、倉敷市のはがきを利用すれば毎年受けることができます。
備考
 特に40歳以上の女性職員を対象に毎年の受診を勧めています。
考察
 乳がん検診は、マンモグラフィと乳腺エコーのどちらかを選択することができます。
 2022年度の受診率は55.0%(104人/189人)で、年々減少傾向です。2019年度の健保組合の変更により、協会けんぽ健診では40歳以上の偶数年歳がマンモグラフィの対象となります。対象年度ではない場合は、倉敷市の検診はがきを利用して別の日に受診を案内しています。制度のわかりづらさや、職員健診の設定月(4月~5月)が倉敷市の健診日程(6月~1月)から外れていることもあり、以前に比べ受診率が低くなっています。
 2020年度より乳がん検診の負担割合を事業所が一部負担し、職員用の午後の検診枠を設定するなど受診率向上に努めています。乳がん検診の重要性や受けやすい環境作りをすすめ、受診者数の増加を目指します。

前立腺がん検診受診率

分子・分母
 分子:前立腺癌検診受診者数 14
 分母:前立腺癌検診対象者数 26
備考
 50才以上の男性職員に勧めています。希望者は検診料金の負担が必要です。
考察
 2022年度の受診率は53.8%(受診者数14人/対象者数26人)でした。2019年度に健保組合の変更により、協会けんぽ検診には前立腺癌検診が含まれず、大幅に受診率が減少しました。2020年度より自己負担額を事業所が一部負担し、50歳以上の男性職員には健診当日にも受診勧奨する事で、健診数は増加しました。今後も前立腺がん検診の重要性をわかりやすく広報し、受診者数の増加を目指します。

子宮がん検診受診率

分子・分母
 分子:子宮がん検診受診者数 103
 分母:子宮がん検診対象者数 237
指標の説明
 協会けんぽに加入している20歳以上の職員は2年に1度受けることができますが、倉敷市のはがきを利用すれば毎年受けることができます。
備考
 20才以上の女性職員を対象に検診受診を勧めています。
考察
 2019年度の健保組合の変更により、協会けんぽに加入している20歳以上で偶数年歳が対象となりました。対象年度ではない人は倉敷市の検診はがきを利用して別の日に受診を案内していますが、制度のわかりづらさから以前に比べ受診率は低くなっています。
 2020年度より費用を事業所が全額負担に変更になったこと、職員用の健診枠を設けたことで、若干の回復はありましたが、まだまだ受診率は低い状態です。
 子宮がん検診の重要性をいっそうわかりやすく広報し、がん検診を受けやすい環境作りをすすめ、健診者数の増加を図りたいと思います。

職員のインフルエンザワクチン予防接種率

分子・分母
 分子:予防接種職員数 501
 分母:在籍職員数 556
指標の説明
 免疫力の低下した患者が多い病院において、職員のインフルエンザワクチン予防接種の実施は、患者の安全を守るための重要な取り組みです。また、職員がインフルエンザに罹患し病欠が続くと、病院機能自体が低下し患者の安全が脅かされます。このような意味で、全職員がインフルエンザワクチンの予防接種を受けることが推奨されます。
考察
 2022年度の職員のインフルエンザワクチン予防接種は90.8%(501/556人)でした。毎年多くの職員が自らと家族の健康管理に加え、患者の安全管理を進めるという意識を持って予防接種を受けていると考えられます。
 接種時期の見極めは年々難しくなっていますが、適切な時期に予防接種を行うことで一定の効果があると考えられます。また、新型コロナウイルス感染症が流行し、職員の感染対策に対する意識も向上しており、自らの健康チェック・マスク着用・手指消毒の徹底により、今年度もインフルエンザ罹患者は少なかったことも報告されています。今後も全ての職員が接種することを目指し、接種推奨の取り組みを継続していきます。

職員の非喫煙率

分子・分母
 分子:非喫煙者数    495
 分母:職員健診受診者数 555
指標の説明
 喫煙は、がんをはじめ脳卒中や虚血性心疾患などの循環器疾患・慢性閉塞性肺疾患など呼吸器疾患や2型糖尿病、歯周病など多くの病気と関係しており、予防できる最大の死亡原因であることがわかっています。
 禁煙外来の実施、敷地内禁煙、日常診療での禁煙指導など、医療機関は禁煙サポートにおける重要な役割を果たしています。医療従事者は、患者に指導する立場であることから、自覚を持って禁煙に取り組み、禁煙の推進に積極的に参加することが求められます。
考察
 2022年度の職員全体の非喫煙率は89.2%(495/555人)、女性は90.9%(391/430)、男性は83.2%(104/125)でした。
 昨年度と比較すると、男性の非喫煙率は上昇し、女性は非喫煙率が低下しました。
 「国民健康栄養調査」によれば、わが国の非喫煙率は男性72.9%、女性92.4%となっており、男性は国民平均値を上回っていますが、健診後の生活指導で禁煙の意志について尋ねると、禁煙の意志がない人がほとんどです。2021年度よりHPH委員会が中心となり、喫煙者にアンケートを実施し、禁煙推進の活動に参加しています。医療者の禁煙は“必須”と考えます。今後も喫煙者への対策、特に職員健診時の指導等を強化していきたいと思います。